
ナリ
東京を拠点に、スモールビジネスを複数運営しています。サラリーマン時代に副業からビジネスを始め、その後独立。eBay輸出歴10年以上・最高月商1,300万円。
eBay輸出だけでなく、中国輸入・卸販売、自社EC、複数のオウンドメディア運営、リユース店舗の運営、実店舗ビジネスなど、さまざまな事業をゼロから立ち上げてきました。事業売却(M&A)は3回以上経験しています。
ナリブログでは、こうした実際の経験をもとに、eBay輸出・副業・スモールビジネスのリアルな情報を発信しています。
「利益が出ている事業」が売れるとは限らない、という現実

事業売却を考えたとき、多くの人が「黒字なら売れる」と思っています。
でも実際には、黒字でも買い手がつかない事業は山ほどあります。
逆に、赤字ギリギリの事業が数百万円で売れるケースもある。
僕自身、これまで3回以上の事業売却を経験してきましたが、買い手が「買いたい」と思う基準は、利益額だけではありませんでした。
この記事では、買い手側の視点から「売れる事業」と「売れない事業」の違いを整理してみます。
ナリ売却額の決め手が「利益額」ではなく「再現性」にあるという点は、僕自身が買い手と話して初めて実感したことです。黒字だからといって安心せず、構造から見直す必要があります。
まず数字で把握する|売却時の相場感


売却額の計算式は、業界によって異なりますが、スモールビジネス・副業規模では以下が目安です。
年間営業利益 × 1〜3倍が小規模M&Aの相場感です。
月利益10万円の事業なら、売却額は120〜360万円あたりになることが多いです。
ただしこれはあくまで目安。
後述する「再現性」や「属人性の低さ」によって、倍率は大きく変わります。



倍率が1〜3倍って、かなり幅がありますね。何が倍率を決めるんでしょう?
売却額の倍率を決める5つの要素


倍率を左右するのは「利益の大きさ」だけではありません。
買い手が実際に確認するポイントをまとめると、以下の5つに集約されます。
| チェック項目 | 買い手が見ていること |
|---|---|
| 再現性 | 売主が抜けても売上が維持できるか |
| 収益の安定性 | 月ごとの売上ブレが小さいか |
| 資産・資料の整備 | 数字・契約・マニュアルが揃っているか |
| 集客の自動化度 | SNSや検索流入など仕組みで客が来るか |
| リスク集中度 | 特定の取引先・プラットフォームへの依存度 |
この5つが整っている事業ほど、倍率が高くなる傾向があります。



書類整備が20点分も影響するんですか。普段から帳簿をつけておくことが大事なんですね。



「資料が揃っているか」を軽視する人が多いですが、買い手からすると数字の根拠が出てこない事業は怖くて買えない、というのが本音です。
「属人性」が高いと売れない。なぜ?


売れない事業の最大の共通点は、「オーナーがいないと回らない」構造です。
たとえば、ある物販事業があったとします。
月30万円の利益が出ていても、仕入れ判断・顧客対応・梱包発送すべてがオーナーの頭の中にしか存在しない場合、買い手は二の足を踏みます。
なぜなら、引き継いだ瞬間に売上が落ちるリスクが読めないからです。
属人性を下げるための最低条件は、業務マニュアル・仕入れルール・顧客対応テンプレートの文書化です。
これが揃っているだけで、同じ利益額でも売却倍率が大きく上がることがあります。


「事業として売れる構造」を最初から作りたい方には、WE BUILDでWebビジネスの基礎から実践まで学べる環境を用意しています。
属人性を下げた「仕組み型」のビジネスの作り方から教えています。
WE BUILDを見る →売れる事業の「見た目」と「中身」の整え方
売却を前提に整備すべき書類・情報は、大きく3カテゴリに分けられます。
| カテゴリ | 具体的な内容 |
|---|---|
| 財務情報 | 直近12〜24ヶ月の月次売上・利益・経費の推移 |
| 業務情報 | 仕入れ先リスト・対応マニュアル・外注先情報 |
| 集客情報 | 流入経路・SEO順位・SNSフォロワー数の推移 |
特に財務情報は「直近の数ヶ月だけ好調」では信用されにくいです。
買い手は12ヶ月以上の推移を見て、安定しているかを判断します。
売却を考え始めたら、少なくとも1年は数字を記録し続けることが大切です。



1年前から準備が必要なんですね。「売りたい」と思ってから始めたら遅いんだ…。



そうなんです。「今すぐ売りたい」という状況で慌てて資料を作っても、数字の継続性が証明できない。理想は「常に売れる状態を維持している」ことです。
「売れない事業」によくある声
以下はナリが一般的な傾向をもとに構成した声です。
実際の失敗パターンを参考にしてください。
利益は出ていたのに「仕入れ先を教えてほしい」と言われ、開示したくなくて交渉が止まった。属人的な仕入れルートは、売却時に大きな壁になると知りました。
Google検索からの流入が8割のメディアを売ろうとしたら、アルゴリズム変動リスクを理由に買いたたかれた。特定プラットフォームへの依存度を甘く見ていました。
帳簿をつけていなかったわけじゃないけど、月次でまとめた資料がなかった。買い手候補に「数字を出して」と言われ、まとめ直すだけで2ヶ月かかってしまいました。
※特定個人の発言ではなく、編集部が一般的な傾向をもとに構成した内容です。
「買い手がつきやすい人」と「売れない人」の違い
まとめると、こういう構図になります。
| 売れやすい事業オーナー | 売れにくい事業オーナー |
|---|---|
| 月次損益を12ヶ月以上記録している | 帳簿が不定期・ざっくり管理 |
| 業務マニュアルが存在する | 全てオーナーの頭の中にある |
| 集客が仕組み化されている | オーナーの人脈・SNSだけで集客 |
| 依存先が分散している | 取引先・販路が1〜2か所に集中 |
| 売却を前提に事業設計している | 「売るときに考えればいい」と思っている |
「売れる状態を維持する」ことは、そのまま「良い事業を運営し続ける」ことと同義です。
売却前に自分でできる「価値向上」ステップ


売却を検討しているなら、今すぐ始められる準備があります。
よくある質問
事業売却を検討している方からよく出る質問をまとめました。
赤字の事業でも売れますか?
売れるケースはあります。顧客リスト・ドメイン・SNSアカウントなど、利益以外に価値ある資産がある場合です。ただし赤字では価格は低くなりやすく、黒字転換の見込みを示せるかどうかが鍵になります。
売却まで平均どのくらいかかりますか?
小規模案件で1〜6ヶ月が目安です。資料が整っているほど早く決まる傾向があります。逆に帳簿が未整備だと、資料作成だけで数ヶ月かかることもあります。
売却仲介サービスの手数料はどのくらいですか?
売却額の5〜10%が一般的な目安です。ラッコM&AやFlipaなど小規模向けプラットフォームでは成果報酬型が多く、売れなければ費用がかからない仕組みのものもあります。
副業規模の小さい事業でも売れますか?
売れます。月利益5〜10万円程度の小規模事業も、副業として引き継ぎたい買い手が存在します。むしろ小規模の方が引き継ぎのハードルが低いと判断されることも多いです。
まとめ|「売れる事業」は最初から設計できる


事業売却で買い手が見ているのは、利益額だけではありません。
再現性・安定性・書類の整備度、この3つが揃っているかどうかが、売却倍率を大きく動かします。
個人的に、「売ることを意識して事業を作る」という視点はすごく大事だと思っています。
売れる事業は、そのまま質の高い事業です。
出口を意識するだけで、日常の業務の質が変わります。
僕がこれまで経験してきた小規模M&Aのリアルな話や、リユース店オーナーのM&A事例も合わせて読んでみてください。
また、撤退すべき数字の見極め方も、売却タイミングを考える上で参考になります。



「売るかどうか分からないから考えない」という人が多いですが、売れる状態を維持することは事業を磨き続けることと同じです。損はないと思っています。











