
ナリ
東京を拠点に、スモールビジネスを複数運営しています。サラリーマン時代に副業からビジネスを始め、その後独立。eBay輸出歴10年以上・最高月商1,300万円。
eBay輸出だけでなく、中国輸入・卸販売、自社EC、複数のオウンドメディア運営、リユース店舗の運営、実店舗ビジネスなど、さまざまな事業をゼロから立ち上げてきました。事業売却(M&A)は3回以上経験しています。
ナリブログでは、こうした実際の経験をもとに、eBay輸出・副業・スモールビジネスのリアルな情報を発信しています。
「どっちもやれば?」では済まない、年商ごとの現実

確定申告の時期になると、eBayセラーの間でよくこんな話が出てきます。
「消費税還付と青色申告の65万控除、どっちが得なの?」
正直に言います。
「両方やれば?」では済まない理由があります。
消費税還付を受けるには課税事業者になる必要があります。
でも課税事業者になった瞬間に、売上に応じた消費税の納税義務も同時に発生する。
つまり年商規模によっては還付どころか逆に損するケースが出てくるんです。
一方の青色申告65万円控除は、帳簿の整備さえすれば比較的すぐ使えますが、「消費税還付との組み合わせ方」を理解していないと効果が半減します。
この記事では、年商規模ごとに「どちらを先に整備すべきか」を、できるだけ実務に近い形で整理しました。
秘書両方やればいいじゃないですか…って最初は思ってたんですが、そう簡単じゃないんですね。



「とりあえず両方」でやった結果、消費税を余計に払う羽目になったセラーさんを何人か見てきました。順序と年商規模の理解が本当に大事です。
まずここだけ読めばわかる|2つの制度の正体


細かい話に入る前に、2つの制度を超シンプルに整理します。
| 制度 | 何が得になるか | 条件 |
|---|---|---|
| 消費税還付 | 仕入れ時に払った消費税が戻ってくる | 課税事業者になる必要あり |
| 青色申告65万円控除 | 課税所得を年65万円減らせる(所得税・住民税が安くなる) | 複式簿記+e-Taxでの申告 |
eBay輸出が消費税還付と相性がいい理由は、輸出売上がゼロ税率(非課税ではなく「免税」)だから。
仕入れのときに消費税を払っていても、売上側で消費税を受け取らない=仕入れ分が丸ごと還付対象になります。
ただし課税事業者の届出を出した年から2年間は免税事業者に戻れないという縛りがある点は必ず覚えておいてください。



「免税」と「非課税」って違うんですか…? ここ、混同してました。



ここの違いを知らないまま「輸出だから消費税ゼロ」と思い込んでいる人が意外と多いです。仕入れ時に払っているのは本当なので、還付請求できるかどうかは大きな差になります。
年商規模ごとの「先に整備すべきもの」ロードマップ


ここが今回のメインです。
年商をざっくり3段階に分けて整理します。
① 年商300万円未満|まず青色申告65万円控除を整備
この規模では課税事業者になってもトータルの還付額が小さく、手続きコストのほうが重くなりがちです。
青色申告の承認さえ受けておけば、65万円の所得控除は確実に効いてきます。
会計ソフト(freeeやマネーフォワード)を導入して複式簿記の習慣をつけることが最優先です。
② 年商300万〜1,000万円未満|両方を段階的に整備
この規模になると消費税還付の旨みが出てきます。
ただし、課税事業者の届出を出す「タイミング」が重要です。
課税事業者選択届出書は、適用を受けたい課税期間の前日までに提出する必要があります。
「今年の分から還付したい」と思っても、前年末までに出していないと間に合いません。
③ 年商1,000万円超|消費税の納税義務が自動発生するので計画的に
年商が1,000万円を超えると2年後から自動的に課税事業者になります。
このタイミングで税理士との連携を強くおすすめします。



届出のタイミングを間違えたら1年まるごと損するんですか…それは怖いですね。



タイミングの失敗は本当によくある。「来年から還付したい」と動いて間に合わなかった、という相談が毎年来ます。遅くとも10月〜11月には動き出してほしいです。
「消費税還付を取りにいく」ときの具体的な手順


消費税還付を受けるための手順は意外とシンプルです。
ただし提出期限を1日でも過ぎると翌課税期間まで待つしかないので、早めに動くことが鉄則です。
準備するものをまとめます。
| 書類・手続き | ポイント |
|---|---|
| 課税事業者選択届出書 | 適用を受けたい課税期間の前日までに税務署へ提出 |
| 消費税課税事業者届出書 | 年商1,000万円超が確定したタイミングで提出 |
| 消費税申告書(一般課税) | 簡易課税は選択しないこと(還付が受けられなくなる) |
| 仕入れの領収書・レシート | 店舗仕入れ分は特に漏れなく保管。古物商許可がある場合は古物商特例も確認 |
仕入れ先がフリマアプリや個人からの場合は、古物商特例の活用も検討してください。
古物商特例とインボイス制度の関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。



「簡易課税を選んでしまって還付ゼロになった」という悲劇は実際にあります。課税事業者になるなら必ず一般課税(本則課税)を選んでください。
青色申告65万円控除を確実に取るための帳簿整備
65万円控除を受けるには3つの条件を満たす必要があります。
- 複式簿記で記帳していること
- 貸借対照表と損益計算書を申告書に添付すること
- e-Taxで申告すること(書面提出だと55万円控除に下がります)
会計ソフトを使えばこれらはほぼ自動で揃います。
eBay輸出で特に帳簿整備が面倒になるのは「仕入れ」の記録です。
eBayの売上はPayoneer経由で入金されるため、為替レートの処理が必要になります。
ざっくりとした処理でも認められますが、税務調査を意識するなら入金日のレートで円換算する習慣をつけておくと安心です。
粗利の考え方についてはこの記事が参考になります。



e-Taxじゃないと65万じゃなくて55万になるんですね。10万円の差は地味に大きい…。



e-Tax自体は一度設定してしまえば毎年数分で申告できます。最初の設定だけ少し手間ですが、10万円の節税のためなら絶対やる価値があります。
知らないと損する「課税事業者を選ぶ落とし穴」
課税事業者になると還付だけでなく、当然ながら「消費税の納税義務」も発生します。
eBay輸出の場合は売上がほぼ輸出なので消費税の受け取りがなく、還付>納税になりやすいのですが、国内での売上が混在している場合は要注意です。
たとえばメルカリやヤフオクで国内販売もしているセラーさんは、その分の売上に消費税がかかるケースがあります。
また、「2年縛り」があるため、eBayを辞めたくなっても課税事業者のままでいなければならない期間が生じます。
| 落とし穴 | 具体的なリスク |
|---|---|
| 2年縛り | 課税事業者を選択した後、2年間は免税事業者に戻れない |
| 国内売上の消費税 | メルカリ・国内転売が混在していると還付額が減少する場合あり |
| 簡易課税の誤選択 | 簡易課税を選ぶと仕入れ税額控除が使えず還付ゼロになる |
| 届出タイミングのミス | 期限を過ぎると翌年まで適用不可 |
消費税還付の仕組み全体については、こちらの完全攻略ガイドで詳しくまとめています。



国内販売が混在しているとどうなるか、正直あまり考えたことがありませんでした。



副業でメルカリと並行しているセラーさんは特に注意が必要です。全部ひっくるめて税理士に相談するのが一番安全だと思います。
向いている人・慎重にすべき人
この2つの制度を積極的に整備すべき人と、慎重に考えるべき人を整理します。
| 向いている人 | 慎重にすべき人 |
|---|---|
| 年商300万円以上で安定している | 年商が不安定で増減が大きい |
| 仕入れ額が大きく消費税の支払いが多い | 国内販売との売上が混在している |
| 長期的にeBay輸出を続ける予定がある | 近々eBayを辞める可能性がある |
| 帳簿管理に会計ソフトを使う準備がある | 帳簿が全くついておらず記帳が追いついていない |
個人的には、年商500万円を超えたら両方整備しない理由はないと思っています。
500万円規模で仕入れに消費税が年20〜30万円かかっているなら、還付を取りにいかないのは純粋にもったいないです。
実際の整備ステップ|手を動かすための順番


「じゃあ具体的に何から手をつければいい?」という声が一番多いので、動く順番を整理します。



STEP3の「着地予測」を怠ると毎年タイミングを逃します。11月には必ず今期の数字を見直す習慣をつけてほしいです。
よくある質問
相談の中で特によく聞かれる質問をまとめました。
副業でeBay輸出をしています。会社員でも消費税還付は受けられますか?
受けられます。ただし本業の給与所得とは別に事業所得として確定申告が必要です。会社に副業がバレるリスクを気にする場合は、住民税の徴収方法を「普通徴収」にする手続きを忘れずに。
青色申告の承認を受けていない場合、今からでも申請できますか?
できます。開業から2ヶ月以内が期限ですが、既に事業を開始している場合はその年の3月15日までに提出すれば翌年分から適用されます。今すぐ動いてください。
課税事業者になると「インボイス登録」も必要ですか?
インボイス登録(適格請求書発行事業者の登録)は任意です。eBay輸出はBtoC・海外向けがメインなので、インボイスが必須になる場面は少ないですが、国内の仕入れ先との関係で求められる場合もあります。状況に応じて判断してください。
消費税還付と青色申告65万控除、どちらが金額的に大きいですか?
年商規模によって逆転します。年商500万円以上なら消費税還付のほうが大きくなるケースが多いです。年商300万円未満では65万円控除のほうが確実に効いてきます。両方取れる規模なら迷わず両方整備してください。
まとめ|年商規模で動くタイミングが全て違う


この記事で伝えたかったのは、「どちらが得か」という二択ではなく、年商規模と整備のタイミングがずれると損をするという現実です。
改めて整理すると、こうなります。
- 年商300万円未満→まず青色申告65万円控除を確実に取る
- 年商300万〜1,000万円→青色申告を維持しながら課税事業者の届出タイミングを計画的に
- 年商1,000万円超→自動的に課税事業者になるので税理士と連携して最適化する
届出の期限ミスは取り返しがつきません。
動くなら必ず10〜11月には準備を始めてください。
消費税還付の仕組み全体を改めて確認したい方は、eBay輸出・消費税還付の完全攻略ガイドもあわせて読んでみてください。
また、そもそもeBay輸出の収益構造や粗利の考え方が気になる方は、売上より「粗利」が大事な理由を解説したこちらの記事も参考になります。



毎年「去年動いておけばよかった」という声を聞きます。この記事を読んだタイミングが一番早いタイミングです。ぜひ動いてみてください。













