
ナリ
東京を拠点に、スモールビジネスを複数運営しています。サラリーマン時代に副業からビジネスを始め、その後独立。eBay輸出歴10年以上・最高月商1,300万円。
eBay輸出だけでなく、中国輸入・卸販売、自社EC、複数のオウンドメディア運営、リユース店舗の運営、実店舗ビジネスなど、さまざまな事業をゼロから立ち上げてきました。事業売却(M&A)は3回以上経験しています。
ナリブログでは、こうした実際の経験をもとに、eBay輸出・副業・スモールビジネスのリアルな情報を発信しています。
「証明書がない商品、全部アメリカに入れなくなるかも」という話

「玩具を発送しようとしたら税関で止められた」「eBay Japanからいきなりメールが届いて、何をすればいいかわからない」——そんな声が、2026年の夏にかけてセラーコミュニティで一気に増えました。
原因は、2026年7月8日に施行された米国消費者製品安全委員会(CPSC)の「eFiling(電子申告)義務化」です。
アメリカ向けに規制対象の消費者製品を発送する際、出荷前に製品の適合証明書データをCBPのシステム(ACE)に電子申告することが義務になりました。
FedEx・DHL・UPS・日本郵便での直送も、SpeedPAK・CPaSSも、全部対象です。
「自分には関係ない」と思っていたセラーほど、実は危ないかもしれません。
秘書eBay Japanからメールが来てたの、実は読み飛ばしてた…という人、多そうですよね。



正直、このルールを事前にしっかり把握できていたセラーはかなり少数だと思います。施行直前まで情報が錯綜していたので、今から対応しても決して遅くないです。
まず数字で把握する|CPSC eFiling義務化のポイント


「何がどう変わったのか」を最初にざっくり把握しておきましょう。
以下の4つの数字が、この規制を理解するうえでの基本になります。



FTZって何ですか?そもそも日本人セラーには関係ある話なんでしょうか?



FTZ(外国貿易ゾーン)は米国内の特殊な保税区域のことで、通常の日本人セラーが直接使う仕組みではありません。今のところ「FTZ経由でない自分には猶予なし」という理解でOKです。
どの商品が対象?知らないと怖い「CPC」と「GCC」の違い


この規制で最初に迷うのが「自分の商品は対象なのか」という点です。
大きく分けると、子ども向け製品にはCPC(Children’s Product Certificate)、一般消費者向けにはGCC(General Certificate of Conformity)が必要になります。
以下の表で、主な対象カテゴリーと必要な証明書の種類を整理しました。
| カテゴリー | 必要な証明書 | 備考 |
|---|---|---|
| 子ども向け玩具・ぬいぐるみ(HTSコード9503番台) | CPC | 9503番台は全て対象 |
| ベビー・育児用品 | CPC | チャイルドシート・哺乳瓶等 |
| 子ども服(12歳以下向け) | CPC | 年齢表示に注意 |
| 一般向け衣類(燃焼性基準あり) | GCC | 特定の素材・用途が対象 |
| 家電・家具(安全基準対象品) | GCC | 製品による |
| コレクタブル・フィギュア(大人向け) | 原則不要 | 判定基準あり(後述) |
対象かどうかは、CPSC公式ツール「Regulatory Robot」またはHTSコードの対象リストで確認できます。
迷ったらまずそこを調べてみてください。



「子ども向けかどうか」の判定って、誰が決めるんですか?メーカーの表記ですか?



基本はメーカーの対象年齢表記が判断基準になります。ただしポケモンカードのように「9歳以上」と書いてあれば子ども向けとみなされる可能性が高い、という実例もあって、コレクター向け商品を扱う人は特に注意が必要です。
見落としやすい「コレクタブル商品」の判定問題


フィギュアやトレカを扱うセラーが特に気をつけたいのが、「これは大人向けコレクター商品か、子ども向け製品か」という判定です。
精巧な作り・台座やケース付き・明らかにコレクター用途のものは大人向けとみなされやすい一方、ポケモンカードはメーカー公式の対象年齢が「9歳以上」のため、子ども向け製品(CPC必要)と判定される可能性が高いとセラーコミュニティで議論されています(執筆時点・2026年6月時点の情報)。
また、中古品・再販品も商業取引として輸入される場合はeFilingの対象です。
「新品じゃないから大丈夫」という認識は通用しないので注意が必要です。
判定が難しいグレーゾーンの商品については、ポケモンカード系のリスクについて以前書いた記事も参考にしてみてください。



この「コレクタブルか子ども向けか」の判定問題が、個人的には今回の規制で一番のグレーゾーンだと思っています。確信が持てない商品は一旦米国向けをブロックしておくのが現実的な判断かもしれません。
SpeedPAK・CPaSS・日本郵便、それぞれの対応スケジュール


「どの配送方法を使っているか」によって、対応の手順が変わります。
日本人セラーが主に使う配送方法ごとに整理しました。
| 配送方法 | 対応方式 | ポイント |
|---|---|---|
| SpeedPAK(Orange Connex)/ CPaSS | 2026年7月15日〜CPaSS画面上の「CPSC Doc」機能で証明書を事前登録・再利用可能に | 7/8〜7/14は毎回手動入力での対応が必要だった過渡期 |
| 日本郵便(UGX等) | 差出時に証明情報を記載した書類をパウチに封入して提出 | 都度書類準備が必要 |
| FedEx・DHL・UPS | 各社のシステム経由でACEに申告 | 直送でも例外なし |
CPaSSの「CPSC Doc」機能は2026年7月15日以降から利用可能になっており、一度登録した証明書データを繰り返し使える仕組みです。
同じ商品を継続して販売しているセラーには特に助かる機能だそうです。
SpeedPAKの具体的な操作手順については、eBay SpeedPAKを利用した発送手順の記事も合わせて参考にしてみてください。



過渡期の7/8〜7/14って、もう過ぎてますよね。今から始める人はどう対応すればいいですか?



7月15日以降にCPaSS上の機能が整ったので、今から対応する場合はその機能を使えばOKです。過渡期を乗り越えてシステムが安定してきたタイミング、という認識で大丈夫です。
「証明書を自作すれば大丈夫」は危険な誤解


調べていて一番「これは知らないとまずい」と思ったのが、証明書の自作リスクです。
CPCの書類フォーマット自体は自分で作ることができます。
でも、根拠となる安全試験は「CPSC認定の第三者ラボ」での実施が法律上必須です。
試験報告書(Test Report)なしに自作した書類は「根拠のない虚偽書類」として扱われ、貨物の没収・罰金のリスクがあります。
「体裁だけ整えた証明書でも通るだろう」という甘い考えは、むしろ状況を悪化させる可能性があります。
証明書が準備できない商品については、以下の対応が複数の日本語セラーブログで推奨されています。
- eBay出品を削除する
- Shipping PolicyでアメリカをExcluded(除外)に設定して米国向け発送をブロックする
送料ポリシーの設定方法については、送料ポリシーの作成方法を解説した記事で詳しく説明しています。



第三者ラボでの試験って、費用はどのくらいかかるんですか?



試験費用は商品カテゴリーや試験項目によって大きく異なり、数万円〜数十万円規模になることも珍しくないようです。個人セラーが1アイテムのために受けるには割高なケースが多く、正直なところ「証明できない商品はアメリカ向けを止める」という判断が現実的だと思います。
デミニミス(800ドル以下)も免除されない。「少額だから大丈夫」の誤解


もうひとつ、誤解が多いポイントです。
Section 321(デミニミス:800ドル以下の少額貨物の関税免除)は、CPSC eFilingには適用されません。
金額・個数に関わらず、規制対象製品であれば全てeFilingが必要です。
「安い商品だから税関をスルーできる」という考えは通用しません。
なお、執筆時点(2026年8月)では、未申告の場合は当面「reject(入国拒否)」ではなく「warning(警告)」扱いとされています。
ただしリスクスコアが悪化し、検査・貨物保留の対象になりやすくなるとされているため、「警告だから放置でいい」という判断は危険です。
状況は今後変わる可能性もあるので、最新の情報はCPSC公式や税関の情報を必ず確認してください。
デミニミス関連の大きな流れについては、デミニミス廃止とeBay輸出セラーの対応策をまとめた記事も参考になります。



「警告だから今はまだ大丈夫」と思って放置すると、リスクスコアが積み上がってある日突然貨物が全部止まる、という最悪のシナリオもあり得ます。早めに対応しておくほうが絶対に得策です。
実際にセラーから上がっている声(一般的な傾向をもとに構成)
これはナリが一般的な傾向をもとに構成した声です。
特定個人の発言ではありませんが、セラーコミュニティで実際によく聞かれるパターンをまとめています。
子ども向けかどうかの判定が一番頭を悩ませました。フィギュアはほぼ大人向けと判断して米国向けは継続しましたが、一部の商品はとりあえずアメリカをExcludedにしました。
証明書の自作は危険だと知らず、フォーマットを真似して作ろうとしていました。試験報告書が必須だと知ってゾッとしました。対象商品はいったん出品を止めました。
トレカは大丈夫だろうと思っていたら、ポケモンカードはCPCが必要になる可能性があるという話を聞いて焦りました。メーカーの対象年齢表記をちゃんと確認しないといけないですね。
※特定個人の発言ではなく、編集部が一般的な傾向をもとに構成した内容です。
CPSC規制への対応ステップ|今すぐできることから始める


「何から手をつければいいかわからない」という人のために、優先度順に整理しました。
まず自分のリストを確認して、対象商品を仕分けるところから始めましょう。
関税・規制まわりの変化への向き合い方については、「関税・規制ラッシュはむしろチャンス」という切り口で書いた記事も参考になります。
規制をポジティブに捉えて差別化するという発想は、今回の局面でも使えると思っています。



Regulatory Robotって、日本語で使えますか?英語オンリーですか?



基本的に英語のツールですが、HTSコードを入力するか商品カテゴリーを選ぶだけなので操作自体はそれほど難しくないです。翻訳ツールと併用しながら確認するのが現実的な使い方だと思います。
よくある質問
CPSC eFilingについて、セラーからよく聞かれる質問をまとめました。
日本からの個人輸出でも対象になりますか?
はい、対象です。FedEx・DHL・UPS・日本郵便の直送でも、SpeedPAK・CPaSSでも、商業取引として規制対象製品を発送する場合はeFilingが必要です。金額・個数にかかわらず対象になります。
警告(warning)なら無視しても大丈夫ですか?
危険です。現時点では即時の入国拒否ではなく警告扱いとされていますが、リスクスコアが蓄積されることで検査・貨物保留の対象になりやすくなります。執筆時点の情報なので、最新の運用状況はCPSC・CBP公式で確認してください。
GCC(一般向け証明書)は自作できますか?
書類フォーマット自体は自作可能ですが、根拠となる安全試験はCPSC認定の第三者ラボでの実施が法律上必須です。試験報告書なしの書類は「根拠のない虚偽書類」として没収・罰金リスクがあります。
CPaSSの「CPSC Doc」機能はいつから使えますか?
2026年7月15日から利用可能になっています。一度登録した証明書データを繰り返し使えるため、継続販売している商品には特に便利な機能です。操作の詳細はCPaSS管理画面で確認してください。
証明書が準備できない商品はどうすればいいですか?
Shipping PolicyでアメリカをExcluded(除外)に設定して米国向け発送をブロックするか、出品を削除するのが現実的な対応として推奨されています。対応が完了するまでは米国向けを一旦止めるのが安全です。
まとめ|規制を正面から受け止めて、粛々と対応するだけ


CPSC eFilingは「知らなかった」では済まない規制です。
でも、やるべきことは意外とシンプルです。
自分のリストを棚卸しして、対象商品を仕分けて、証明書が取れないものはアメリカ向けを止める。
この3ステップを地道にやるだけです。
個人的に思うのは、こういう規制が入るたびに「面倒くさい」と諦めるセラーが一定数出てくる、ということです。
それは逆に言うと、ちゃんと対応したセラーが競合を減らせるチャンスでもあります。
関税・規制まわりの変化への向き合い方については、日米関税合意の食い違いと今後の対応をまとめた記事や、トランプ関税・デミニミス終了の影響を解説した記事も合わせて読んでみてください。
なお、この記事の内容は執筆時点(2026年8月)の情報をもとにしています。
CPSC・CBPのルールや各配送サービスの対応は今後変更される可能性があるため、最新情報は必ずCPSC公式サイトや各配送業者の管理画面で確認してください。



この規制、最初に聞いたときは「また面倒なことが増えた」と正直思いました。でも調べれば調べるほど、ちゃんと対応できている日本人セラーはまだ少ないと感じています。逆にチャンスだと思って前向きに取り組んでほしいです。













