
ナリ
東京を拠点に、スモールビジネスを複数運営しています。サラリーマン時代に副業からビジネスを始め、その後独立。eBay輸出歴10年以上・最高月商1,300万円。
eBay輸出だけでなく、中国輸入・卸販売、自社EC、複数のオウンドメディア運営、リユース店舗の運営、実店舗ビジネスなど、さまざまな事業をゼロから立ち上げてきました。事業売却(M&A)は3回以上経験しています。
ナリブログでは、こうした実際の経験をもとに、eBay輸出・副業・スモールビジネスのリアルな情報を発信しています。
「関税15%」と聞いて、利益が半分になると思っていませんか

正直に言います。
「関税15%」という数字だけ見ると、ものすごく怖く感じます。
でも実際に計算してみると、利益が半分になるわけではないことがわかります。
一方で、「関税は買い手が払うんでしょ?」と思っているセラーには、かなりの地雷が待っています。
2025年10月以降、eBayでは日本発・米国向けの取引についてDDP(関税をセラーが負担して発送する方式)が事実上の必須になっています。
つまり関税はセラーが立て替えて発送し、その分を自分の価格設計に織り込まなければいけない仕組みです。
「そんなこと知らなかった」では済まないのが今の環境。
ここで一度、数字をきちんと整理しておきたいと思います。
秘書DDPって何ですか?セラーが関税を払うということ…?



DDPはDelivered Duty Paidの略で、関税をセラー側が負担して届ける方式です。バイヤーは追加費用ゼロで受け取れますが、その分セラーが価格設計をしっかりやらないとそのまま赤字になります。
まず数字で整理。ざっくりこれだけ覚えておけばOK


ひとまず今の状況をカード4枚でまとめました。
細かい話はこの後で順番に説明します。
執筆時点(2026年8月)の情報をベースにしています。
関税率・制度は変わる可能性があるので、最新情報はeBay公式や税関の情報も合わせて確認してください。
今の関税の仕組み。「122条→301条」への経緯を知っておく
少し背景を整理させてください。
これを知らないと「また関税が変わった」という情報に毎回振り回されます。
もともと2026年2月に発動された通商法122条の一律10%輸入課徴金は、大統領が議会承認なしに課せる期間が最長150日という制限がありました。
その期限が2026年7月24日に到来したことで、トランプ政権は通商法301条への「恒久的な組み替え」を行いました。
これが現在の関税です。
なお、IEEPAを根拠にした相互関税は2026年2月20日に連邦最高裁で違憲・無効と判断されており、301条はその後継にあたります。
日本向けの301条関税の仕組みはこうです。
- MFN(一般関税率)とSection 301関税を合算して12.5%になるよう調整する方式
- もともとMFN税率が12.5%未満の品目 → 差額分だけが追加される
- もともとMFN税率が12.5%以上の品目 → 追加関税はゼロ
eBay Japanも2026年7月24日付でセラー向けに公式告知を掲出しています(ebay.co.jp/tariffs)。



301条になったことで、以前より「恒久的」になったということですか?



そうです。ただ発動と同日、米国内の企業が徴収停止・返金を求めて提訴しているので、「確定した制度」と言い切れない状況でもあります。訴訟の行方によっては変更の可能性もあるので、定期的に情報を追っておくことをおすすめします。
実際の計算例。申告価格14,780円の商品で何円取られる?


ここが本題です。
実際に数字で見てみましょう。
SpeedPAK Economyを使ったDDP発送の場合、セラーに請求される費用は大きく3つです。
| 費用項目 | 計算方法・目安 | 金額(参考例) |
|---|---|---|
| 関税 | 申告価格の約15%(品目により異なる) | 約2,217円 |
| 米国関税処理手数料 | 関税額の約2.1% | 約47円 |
| 米国輸入通関手数料 | 1パッケージにつき固定225円 | 225円 |
上の例は申告価格14,780円の商品での参考値です。
実際にこの金額で発送したセラーの報告をもとにしています。
予想外の追加請求はなかったとのことで、計算通りに動いた事例です。
ただしこれはあくまで実例ベースの目安であり、品目・申告価格・通関状況によって変わります。
正確な金額はSpeedPAKの管理画面や申込み時の見積もりで確認してください。



合計で2,489円ですか。14,780円の商品に対して約16.8%…思ったより多いですね。



そうなんです。関税「15%」という数字だけを見ると大したことなさそうに感じますが、処理手数料・通関手数料が乗ると実質17〜18%になります。ここを計算せずに価格を決めると普通に赤字になります。
「価格に転嫁すればいい」のに、なぜ失敗するのか


関税分を商品価格に乗せれば済む、という考え方は正しいです。
でも落とし穴があります。
関税分を「商品価格」として上乗せすると、eBayの落札手数料(販売額+送料+関税に対して約18%)の計算ベースも上がるため、手数料も連鎖して増えます。
つまり関税だけを単純に価格に足しても、手数料増分をカバーしきれないケースが出てきます。
実際にDDP発送でセラーが見込む総コストの目安はこうです。
| コスト項目 | 価格に対する割合(目安) |
|---|---|
| 関税(日本製品・目安) | 約15% |
| 関税処理・通関手数料 | 約2〜3% |
| eBay落札手数料への跳ね返り分 | 約2〜3% |
| 合計でセラーが見込む上乗せ率 | 18〜24%前後 |
このあたりの計算が面倒だという方には、SpeedPAK Economy対応の利益計算シミュレーターを使うと楽になります。
ぜひ活用してみてください。
実際に利益はどれくらい減る?ケース別に整理してみた
「利益が何%減るか」は仕入れ値・販売価格・送料のバランスで変わります。
ケース別に整理してみました。
前提: 販売価格1万円・仕入れ3,000円・送料1,200円(SpeedPAK目安)・eBay手数料約18%のシンプルなモデルです。
| ケース | DDP前(旧来) | DDP後(関税18%転嫁済) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 販売価格 | 10,000円 | 11,800円 | +1,800円 |
| eBay手数料(約18%) | 1,800円 | 2,124円 | +324円 |
| 送料+関税負担 | 1,200円 | 3,000円 | +1,800円 |
| 手元に残る利益(目安) | 約4,000円 | 約3,676円 | 約▲324円 |
価格転嫁がうまくいった場合でも、手数料の跳ね返りで約300〜400円程度は実質的に利益が削られます。
転嫁できなかった場合はさらに大きく減ります。
「関税で利益が半分になる」は大げさですが、「何も対策しなくていい」というのも甘いです。
売上より粗利を重視する考え方が今こそ大事になっています。



個人的に一番怖いと思っているのは、「関税を価格に乗せたから大丈夫」と思い込んで、手数料の連鎖増を見落としているセラーが多い点です。1件あたりは小さいですが、月100件売れていたら3〜4万円の差になります。
訴訟中・係争中。この関税、本当に「確定」なの?
実は2026年7月24日の発動と同日、米国内の企業が徴収停止・返金を求めて提訴しています(日本経済新聞2026年7月25日報道)。
通商法301条はIEEPAより司法審査に耐えやすいとされていますが、60カ国・地域への一律適用と「強制労働対策不十分」という名目の整合性に疑義があるとの分析もあります。
原告が勝つ可能性も残るという見方があります(note・宮野宏樹氏、2026年7月)。
現時点で効力停止は認められておらず、関税は発動中です。
でも「永久にこの税率が続く」と断言もできません。
だからこそ僕がおすすめするのは、「関税を前提にした価格設計に切り替える」こと。
楽観も悲観もせず、今の税率で利益が出る仕組みを作っておくのが一番現実的な対応です。
関税まわりの最新動向については、日米関税合意の経緯と今後の対応をまとめた記事も参考にしてみてください。



訴訟次第では関税が撤廃される可能性もある、ということですか?



可能性としてはゼロではないです。ただ「訴訟で勝つかも」に賭けてビジネスを組み立てるのはリスクが高い。今の環境で利益が出る設計にしておけば、仮に税率が下がった時は丸ごとボーナスになります。
DDPで損しないための価格設計、ステップで整理


計算の手順をステップで整理しました。
難しいことはなく、順番に確認するだけです。
なお、SpeedPAK Economyの具体的な送料は公式には非公開のため、SpeedPAKの発送手順と実例の記事も合わせて確認してみてください。
関税環境で「勝つセラー」「厳しくなるセラー」の違い


正直なところ、関税が上がったこと自体はチャンスでもあります。
価格計算が面倒で脱落するセラーが増えると、ちゃんと対応したセラーにとっては競合が減ります。
関税・規制ラッシュをむしろチャンスと捉える考え方は、ぜひ一度読んでほしい記事です。
関税環境で有利なセラーと不利なセラーをまとめると、こうなります。
| 有利になりやすい | 厳しくなりやすい |
|---|---|
| 粗利率が高い商品を扱っている | 薄利多売・低単価商品中心 |
| 価格設計にDDPを最初から織り込んでいる | DDPの仕組みを理解せず出品している |
| 日本製・希少品など競合が少ないニッチ商品 | 誰でも仕入れられるメジャー商品だけ |
| SpeedPAK等のDDP対応配送を使っている | DDU発送のままで保護対象外になっている |
関税は「全員に同じダメージ」ではなく、価格設計を正しくできているかどうかで影響が大きく変わります。



薄利多売モデルの人は今回の関税で本当に厳しくなっています。逆に粗利40%以上の商品を扱っているセラーは、価格転嫁さえできれば影響は軽微です。仕入れ先・商品ジャンルの見直しをこの機会にやっておくのがいいと思います。
よくある質問
関税まわりで特によく聞かれる質問をまとめました。
DDUで発送し続けたらどうなりますか?
eBayのセラー保護対象外になります。バイヤーが関税未払いを理由にItem not receivedケースを開いた場合、セラー不利のDefectが付与されます。2025年10月以降はDDPが事実上の必須です。
関税率12.5%なのに、なぜ15%と書かれているケースがあるの?
12.5%はSection 301関税の「合計上限」です。品目別のMFN税率が低い商品では差額分が追加され、実際の関税が15%前後になるケースがあります。品目ごとに確認が必要です。
訴訟で関税が撤廃されたらどうなりますか?
現時点では効力停止は認められておらず、関税は発動中です。仮に訴訟で原告が勝ち関税が変わった場合でも、DDPで価格設計していれば損することはありません。今の税率で利益が出る設計を先に作っておくのが安全です。
消費税還付はDDPでも受けられますか?
消費税還付はeBay輸出の輸出免税制度に基づくもので、DDP/DDUの区別に関係なく適用されます。ただし条件や手続きが複雑なので、別途確認が必要です。
まとめ。関税で「詰む」セラーと「乗り越えるセラー」の差は1つだけ
今回の記事を整理するとこうなります。
- 2026年7月24日、Section 301関税が発動。日本向けは合計12.5%になるよう調整する合算方式
- DDP発送では関税+処理手数料+通関手数料を合わせると実質18%前後の負担になる
- 価格転嫁する際はeBay手数料への跳ね返りも含めて18〜24%を見込むのが現実的
- 訴訟中のため「確定した制度」ではないが、今の税率で利益が出る設計を先に作っておくのが正解
利益が「半分になる」わけではありません。
でも「何もしなくていい」でもない。
正確に計算して、価格に転嫁して、DDPで発送する。
この3ステップを当たり前にできているセラーは、今の環境でも普通に利益を出しています。
計算が面倒な方はSpeedPAK Economy対応の利益計算シミュレーターを使ってみてください。
また関税対応の価格設定についての疑問はFAQテンプレートと対策例文をまとめた記事も参考になります。
税率は今後も変わる可能性があります。
数字は必ずeBay公式や税関の最新情報で確認してから価格設計するようにしてください。













