
ナリ
東京を拠点に、スモールビジネスを複数運営しています。サラリーマン時代に副業からビジネスを始め、その後独立。eBay輸出歴10年以上・最高月商1,300万円。
eBay輸出だけでなく、中国輸入・卸販売、自社EC、複数のオウンドメディア運営、リユース店舗の運営、実店舗ビジネスなど、さまざまな事業をゼロから立ち上げてきました。事業売却(M&A)は3回以上経験しています。
ナリブログでは、こうした実際の経験をもとに、eBay輸出・副業・スモールビジネスのリアルな情報を発信しています。
「売れたのに赤字」──後出し関税で損した人が続出している

商品が売れて発送したあとに、クーリエ(FedExやDHLのような国際宅配業者)から数千円〜数万円の関税請求書が届いた。
そういう報告が、eBay輸出をやっているセラーの間で増えています。
商品代金はとっくにもらっているのに、あとから関税を自腹で払う羽目になる。
しかも金額によっては、その1件の利益が丸ごと吹き飛ぶどころかマイナスになる。
これが今、多くのセラーを悩ませている「後出し関税」問題です。
関税のルール自体がこの1〜2年で何度も変わっていて、正直に言うと「今どうなっているか」を正確に把握している人はそこまで多くない印象があります。
僕も細かい部分は都度調べ直しています。
この記事では、2026年9月時点の最新状況を整理して、eBay輸出セラーとして何をすべきかを一緒に確認していきます。
※本記事の情報は執筆時点(2026年8月〜9月)のものです。
関税率・運用ルールは今後も変わる可能性があるため、最新情報は必ずeBay Japan公式(” target=”_blank” rel=”noopener nofollow”>ebay.co.jp/tariffs)でご確認ください。
秘書売れてから赤字になるって、精神的にもきつそうですね…



「売れたけど損した」は一番モチベーションが折れるパターンなので、まずここを整理したかったです。
2026年9月時点のトランプ関税──ひと目でわかる数字


まず現時点の状況を数字で整理します。
ここ1年で制度が何度も変わっているので、「自分が把握しているルール」が既に古い可能性があります。



中国製145%以上って、もはや輸出ビジネスとして成り立たないレベルでは…?



中国製品は別格で、日本在住セラーが中国製の商品をeBayで売るのは今のところほぼ旨味がないと思っています。
Section 301発動・IEEPA違憲・122条──関税の「変遷」を時系列で整理する


正直、この1年の関税の変遷は複雑すぎて追いかけるのが大変でした。
簡単に時系列で整理します。
- 2026年2月20日:米連邦最高裁が、IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づくトランプ関税を違憲・無効と判断。いわゆる「相互関税」「フェンタニル関税」がここで一度無効になりました
- 2026年2月24日〜:代わりに通商法122条に基づく一律10%の暫定関税が発動。ただしこの122条には「150日の期限」があります
- 2026年7月24日〜:Section 301(通商法301条)に基づく新関税が発動。日本・韓国・スイスを原産地とする商品には、MFN関税とSection 301関税の合計が原則12.5%となるよう調整される「合計調整方式」が適用されています
Section 301は期限や税率上限の定めがなく、中長期的に継続する可能性が高いとされています。
ただし今後も運用・税率が変更される可能性はあります。
「今のルールが永遠に続く」と思って計算すると、また足元をすくわれるので注意が必要です。
またIEEPAによる関税分の還付手続きについては、CBPが2026年4月から段階的に開始していますが、トランプ政権が2026年6月に控訴しており、清算済み案件の還付については現在も係争中です。
「還付される」と断言できる状況ではありません。



中国製と日本製でここまで差があるんですね、知らなかったです。



品目によって関税率は全然違うので、この棒グラフはあくまで大まかな目安として見てください。正確にはHTSコードごとに確認が必要です。
日本製vs中国製──米国向け関税率はここまで違う


eBay輸出をやっている人が一番気になるのが「日本製と中国製で何がどう違うのか」だと思います。
ここを整理します。
| 比較項目 | 日本製品 | 中国製品 |
|---|---|---|
| 適用される関税の仕組み | Section 301(合計調整方式) | Section 301+追加関税 |
| 実効関税率の目安(執筆時点) | 合計12.5%前後(品目による) | 145%以上(品目・状況による) |
| デミニミス(800ドル以下免除) | 廃止(2025年8月29日〜) | 廃止(同) |
| eBayセラーへの実務的影響 | 利益率は圧迫されるが継続可能なケースあり | ビジネスとして成立しにくい状況 |
日本在住のセラーが日本のリサイクルショップや中古市場で仕入れた日本製品・日本のブランド品は、「原産国が日本」として扱われる商品も多く、Section 301の合計12.5%前後が適用される可能性があります。
ただし原産国の判定は品目・製造状況によって変わるので、ラベルや申告内容の正確さが重要です。
詳しい原産国の考え方については、日本製vs中国製で米国関税はどう変わる?原産国の考え方の記事も参考にしてください。
一方で中国製の商品は現在145%超という水準のため、日本から中国製品をeBayでアメリカに売るのはほぼ旨味がない。
正直これが今の現実だと思っています。



原産国の判定って、購入した場所ではなく製造国で決まるんですよね?



そうです。日本で買った商品でも、中国製であれば原産国は中国扱いになります。品目によっては輸送コストより関税の方が高くなることもあり得るので、仕入れ時に原産国を確認する習慣をつけておくと安心です。
デミニミス廃止とDDP義務化──「後出し関税」が起きる本当の理由


後出し関税が増えている原因は2つあります。
デミニミス廃止とDDP義務化への対応漏れです。
まずデミニミス(de minimis)から説明します。
これは「800ドル以下の輸入品は関税ゼロ」という米国の少額免除ルールのことです。
たとえるなら、コンビニの「200円以下の商品はポイントカード不要」みたいな免除制度です。
このデミニミス免除が2025年8月29日をもって全世界対象で完全撤廃されました。
今は800ドル以下でも普通に関税がかかります。
次にDDP(Delivered Duty Paid)。
これは「関税をあらかじめ商品代金に含めて発送する」仕組みです。
たとえるなら、送料・税込みの価格で売っているネットショップと同じイメージです。
買い手が受け取り時に追加でお金を払わなくてよい状態にして発送することを意味します。
このDDPが2025年10月17日から、日本→アメリカ向けの2,500ドル未満の発送で義務化されました。
DDPに対応していない状態で発送するとアカウントにDefect(欠陥評価)が付くリスクがあります。
「知らなかった」「対応が遅れた」セラーが非DDP状態で発送してしまい、あとからクーリエが買い手に関税を請求→買い手がキャンセルや返金を求めてくる、というトラブルが現実に起きています。
デミニミス廃止の詳細とeBay輸出セラーの対応策についても別記事でまとめているので、あわせて読んでみてください。



義務化を知らなかっただけでアカウントにペナルティが付くのは怖すぎます…



eBay Japanが公式にアナウンスはしているのですが、情報をこまめに追えていない人が想像より多い印象です。
SpeedPAKとDDP対応──今の発送手段の選び方


では実際にどの発送方法を使えばDDPに対応できるのか。
日本在住セラーが使える選択肢を整理します。
SpeedPAK(CPaSSシステム経由)は現在多くのセラーが使っている発送方法です。
CPaSSとは、eBay Japanが提携している通関・配送管理のプラットフォームのことで、HTSコード(品目分類コード)の検索・関税計算が自動化されており、DDP対応の状態で発送しやすくなっています。
発送手順についてはeBay SpeedPAKを利用した発送手順の記事で詳しく解説しています。
SpeedPAK Economyの料金は公式には非公開で、管理画面上で確認する形になります。
実際に使っているセラーの報告では「EMSより安いケースが多い」という声が多く、特に小型・軽量品で使いやすいとされています。
ただし正確な金額は申込み時に管理画面で必ず確認してください。
また2026年4月14日から、日本郵便のアメリカ向け発送が約8ヶ月ぶりに再開されました。
ただし再開条件として、Zonos社(CBP認定事業者)を通じた関税の事前支払いが必須です。
日本郵便はFedExやDHLに比べてコストを抑えやすい選択肢として再注目されています。
| 発送方法 | DDP対応 | コスト感 | 備考 |
|---|---|---|---|
| SpeedPAK Economy(CPaSS) | ○(自動対応) | EMSより安い傾向 | HTSコード自動計算・日本発で最も普及 |
| FedEx / DHL | ○(設定要) | 高め | 速達・追跡精度は高い |
| 日本郵便(Zonos経由) | ○(Zonos通じた事前支払が必須) | 比較的安め | 2026年4月から再開・認定事業者はZonosのみ |
| EMS(単体・従来方式) | △(DDP未対応が多い) | 中程度 | 現在は主流ではなくなっている |
利益計算の際は関税分を販売価格に乗せる必要があります。
SpeedPAK Economy対応の利益計算シミュレーターを使うと楽に計算できるのでおすすめです。


関税・DDP・SpeedPAKと、覚えることが増えてきましたよね。こうした実務全体を体系的に学びたい方は、僕がやっているWE BUILDというプログラムも選択肢の一つとして見てみてください。
eBay輸出を含む副業・Webビジネスをゼロから学べる内容です。
WE BUILDを見る →「知らなかった」では済まない──よくある失敗パターン3選
以下はナリが一般的な傾向をもとに構成した声です。
特定の個人の発言ではありませんが、実際に多い失敗パターンを反映しています。
デミニミス廃止を知らずに発送し続けていて、買い手から『関税を請求された、返金しろ』とメッセージが来た。その月だけで3件、合計2万円以上の損失になりました。非DDP発送がこんなにリスクだとは思っていなかった。
カメラの部品を中国で仕入れてeBayで売っていたんですが、関税が145%超と聞いて完全に戦略を変えました。今は日本製・日本ブランドの中古品に完全移行しています。切り替えが遅かった分、在庫が一時的に負債になりました。
SpeedPAKでDDP対応はできていたんですが、HTSコードの分類を適当に入れていて後から関税差額を請求されるケースが出てきました。コードの正確さがこんなに重要だとは思っていなかったです。
※特定個人の発言ではなく、編集部が一般的な傾向をもとに構成した内容です。
HTSコードのミスが「後出し関税」の引き金になる
DDP対応の発送ができていても、HTSコード(品目分類コード)の入力ミスが新たな問題になっています。
HTSコードとは、輸出入する商品の品目を分類する国際的なコードのことです。
たとえるなら、図書館の本が「歴史・小説・医学…」と分類されているのと同じで、商品ごとに「このコードの商品には何%の関税」と決まっています。
SpeedPAKのCPaSS上ではHTSコードの検索・選択ができますが、似たようなコードが複数あって迷うケースも多いです。
コードの選択が間違っていると、関税額の計算がズレて、届いた後に差額請求が来ることがあります。
HTSコードの正確な調べ方については、HSコードを間違えるとどうなる?正しい調べ方を解説の記事が参考になります。
カテゴリによっては複数の候補が出てくるので、面倒でも品目ごとに確認する習慣をつけておくのが大事です。



HTSコードって、自分で正しいものを選ばなきゃいけないんですね。大変そう…



慣れると早くなるんですが、最初は同じジャンルでも細かく分類が分かれていて戸惑うと思います。わからなければ雑貨系の広いコードで申告するより、面倒でも正確に調べた方が長期的に安全です。
関税込みの利益率はどう変わったか──実際の数字で確認


関税対応前後で利益率がどの程度変わるか、目安を示します。
商品・カテゴリによって全然違うので、あくまで参考値として見てください。
執筆時点では、日本製品への関税が合計12.5%前後とすると、たとえば販売価格100ドルの商品なら関税コストは12〜15ドル前後が商品価格に上乗せされるイメージです。
これをセラー側がDDPで事前に負担する場合、販売価格に反映しなければ利益がそのまま削られます。
実際の利益計算は米国関税でeBay輸出の利益はどう変わる?計算例と対策の記事でシミュレーション付きで解説しているので、ぜひ確認してみてください。



粗利率35%→22%は大きい変化ですが、それでも利益が出るカテゴリは存在します。「関税があっても日本製品の価値が高い」ジャンルを狙うのが現実的な戦略だと思っています。
今すぐできる対策のステップ


「じゃあ何から手をつければいいの?」という方向けに、優先順位つきでまとめます。
よくある質問
読者からよく来る質問をまとめました。
SpeedPAKを使えばDDPに自動対応できますか?
CPaSS経由のSpeedPAK EconomyはDDP対応の仕組みが組み込まれています。ただしHTSコードを正確に入力することが前提で、コードが間違っていると関税差額が後から請求されることがあります。設定後は管理画面で必ず確認してください。
日本郵便でアメリカに送れるようになったんですか?
2026年4月14日から再開されましたが、Zonos社(CBP認定事業者)を通じた関税の事前支払いが必須です。Zonos経由でのDDP対応が条件なので、従来の発送と手順が異なります。最新情報は日本郵便公式で確認してください。
IEEPA関税の還付は受けられますか?
CBPが2026年4月から段階的な還付手続きを開始していますが、トランプ政権が6月に控訴しており、清算済み案件については現在係争中です。「確実に返ってくる」と断言できる状況ではないため、還付を前提にした資金計画は立てない方が安全です。
中国製の商品はもうeBayで売れないですか?
執筆時点では中国製品の米国向け実効関税が145%超の水準で、利益を出すのは非常に困難な状況です。日本在住セラーは日本製・日本ブランドの中古品に切り替えるのが現実的な対応です。
関税の最新情報はどこで確認すればいいですか?
eBay Japan公式(ebay.co.jp/tariffs)が最も信頼性が高く、約1ヶ月前(2026年7〜8月)にも更新されています。関税率・運用は今後も変わる可能性があるため、定期的な確認を推奨します。
まとめ──「ルールが変わった」を言い訳にしない人が生き残る
2026年9月時点でまとめると、eBay輸出セラーが押さえておくべきポイントはこの3つです。
- Section 301発動により、日本製品への関税は合計12.5%前後(執筆時点・品目による)
- デミニミス廃止・DDP義務化により、800ドル以下でも関税がかかり、非DDP発送はペナルティリスクあり
- 中国製品は145%超の関税水準で、事実上eBay輸出ビジネスとして旨味がない状態
正直、この1〜2年の変化は速すぎて、追いかけるだけでも大変だと思っています。
ただ、対応した人と対応しなかった人で、結果がはっきり分かれてきているのも事実です。
ルールが変わった→だから終わり、ではなく、ルールを把握して価格設計と仕入れカテゴリを見直せばまだ戦えます。
日本製品・日本ブランドの希少な中古品は、関税が12〜13%かかっても「日本からしか買えない」価値があれば買い手がいます。
関税の状況は今後も変わる可能性があります。
僕も定期的にeBay Japan公式(また、トランプ関税下でのより踏み込んだ仕入れ・販売戦略については” target=”_blank” rel=”noopener nofollow”>ebay.co.jp/tariffs)を確認しているので、ぜひ定期的にチェックする習慣をつけてください。
また、トランプ関税下でのより踏み込んだ仕入れ・販売戦略についてはトランプ関税下のeBay戦略|競合に勝つニッチ×高粗利の仕入れと販売設計の記事も参考になります。
引き続き一緒に情報をアップデートしていきましょう。



「日本製品の価値」は関税があっても消えない。そこを軸に戦略を組み直すのが今一番大事なことだと思っています。











